第1回アニメとアニメーションの違い
このコラムでは、「アニメ!アニメ!」のなかで利用している様々な言葉の定義を説明する。例えば、今回、選んだ「アニメ」と「アニメーション」、あるいは「制作」と「製作」、さらには「実写」と「アニメーション」といったものだ。
こうした言葉は、日常的に利用しているのにその定義が曖昧である。また曖昧なだけでなく、実際正確な定義づけがないものが多い。
ここで混乱している言葉に定義を決めたり、何かのアイディア提唱するつもりは全くない。「アニメ!アニメ!」がどのような定義で記事を書いているかだけを説明したい。
「アニメ!アニメ!」の定義は、おそらくあまり一般的でないことも多いし、どのように言葉を選んでいるか知って貰えれば、より多くの意図が伝わるのでないか考えているからだ。
【「アニメ」も「アニメーション」も国内では区別はない】
まずは、大きな混乱を見せている「アニメ」と「アニメーション」。実際は日本の国内だけならば定義はとてもシンプルだ。日本では「アニメ」=「アニメーション」で、同じものである。
ところが海外だと様相が一変する。「アニメ:ANIME」と「アニメーション:ANIMATION」は別物なのだ。つまり、日本のアニメーションは「アニメ」として区別される。
この用例は過去10年ぐらいで急激に広がり、いまではニューヨークタイムズからBBCまで、英語圏のメディアは何の説明もなく日本のアニメーションを「アニメ」と表現する。
言葉が生れた理由は単純で、日本のアニメーションが海外に輸出された時に、その表現形式の異質さから従来のアニメーションとの区別が必要だったからである。
その際に、日本ではアニメーションの一般名詞であった「アニメ」が、本来の英単語にない言葉だったことから流用されたと考えられる。
【海外で混乱する「アニメ」と「アニメーション」】
それでも日本のアニメーション=「アニメ」なら判りやすい。しかし、実際はもう少し複雑である。「アニメ」は1960年代にはじまった日本式リミテッドアニメーションが生んだ様式と考えられているからだ。そうなるとそれ以前の東映動画のフルアニメーションや戦前のクラシックアニメーションは「アニメ」になるのだろうか?
実際にこれらは日本のアニメーションと表現され、アニメには含まれていないことが多い。リミテッドアニメーションに関して言えば、「ジブリ作品はフルアニメーションだから、アニメと呼ぶべきでない」と主張する外国人のアニメーション研究家もいる。
しかし、私個人としてジブリ作品はフルアニメーションでないし、日本のリミテッドアニメーションの表現方法を大きく取り入れているので、いわゆる「アニメ」のなかに含まれると考えている。
これは蛇足だが、ジブリ作品だけを切り分けようとすることに、リミテッドアニメーションはアートして認めたくないが、ジブリ作品は評価したいというリミテッドアニメーションを差別する意図が感じられる。リミテッドアニメーションとフルアニメーションの違いは、単にヒトコマに利用する動画の枚数でないはずだ。
【3Dアニメーションはどう扱うべきか?】
リミテッドアニメーションを起点にすると、3Dアニメーションにも同様の混乱がある。日本製の3Dアニメーションを「アニメ」と呼ぶのかどうかである。実際は、「アニメ」と呼ばれることがかなり多い。
具体的な作品で言えば、『FREEDOM』や『アップルシード』、『ベクシル』などは「アニメ」と呼ばれることが多い。
おそらくその映像表現、「止め」や「動き」に日本のアニメスタイルが大きく影響しているためである。さらに脚本や音楽なども含めて、総体として「アニメ」を思わせるからかもしれない。
『ファイナルファンタジー アドベントチルドレン』になるとさらに微妙である。2Dアニメーションとのつながりは極めて希薄だからだ。それでも、多くの「アニメ」関連のメディアは「アニメ」として扱おうとしているし、商品的な区分も「アニメ」とされることが多い。
ところが、『アドベントチルドレン』と全く同じ技術を使った映像であってもゲームムービーやそこから派生するアニメーションは「アニメ」と呼ばれないことが多い。どうやら海外の「アニメ」の定義には技術的な問題だけでなく、作品の出自や物語(脚本・構成)も絡んでいるようだ。しかし、ここは未だ不確定な部分である。
【「アニメ」=日本アニメは便利な言葉】
こうした状況のなかで「アニメ!アニメ!」では、文中のなかで利用する「アニメ」の定義を広い意味での日本のエンタテインメント・アニメーションとし、一般名詞のアニメーションと区別している。
このなかには2Dアニメーション、2Dアニメーションの表現スタイルの影響を受けた3Dアニメーションも含む。東映動画の初期長編アニメーションなど戦後のエンタテインメントアニメーションも含む。
日本の一般的な使用例とも海外の使用例とも異なるが、海外の用例に近い。日本のアニメの定義を海外での用例に従うというかなり奇妙な状況にあるが、その理由は便利だからに尽きる。
日本と海外のアニメーションを区別する必要が多く、日本の一般名詞としての「アニメ」、「アニメーション」ではうまく説明が出来ないことが多いからである。
「アニメ」と「アニメーション」の違いは、海外で自然発生的に生れ、定着したのだが、それはその必要性があったからである。またその区分の合理性が、言葉を急速に普及させた理由である。「アニメ!アニメ!」はこの便利さにのかっているのである。
アニメ!アニメ!よりへぇ〜、海外では「アニメ」と「アニメーション」の区別があるのか・・・。
でも、「アニメ」が粗悪品で「アニメーション」は芸術品みたいな、なんだかそんな印象を受ける。どうも欧米の人は、日本人のというかアジアの文化を認めたがらない風潮があるね。
リミテッドアニメーションが「アニメ」であるのなら、ディズニー以外は「アニメ」になるのだろうか?
日本では「アニメ」と「アニメーション」の区別なんてない。それは、「パソコン」と「パーソナルコンピューター」が同じ意味であることとなんら変わらない。
まあ、この辺はお国柄なんだろうね。全てはっきりしないと気が済まない人種と、あいまいが好きな人種のね。
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